第14回公演
オリジナル・ガラ・オペレッタ
「劇場支配人」
オペレッタプロジェクト11
2002年12/21(土)18:30開演 ・ 12/22(日)17:00開演
墨田区立 曳舟文化センター
全席自由 2000円
スタッフ
総監督/脚本/演出
・・・・・北 教之
音楽監督/選曲/指揮
・・・・・八木原 良貴
作詞
・・・・・三浦 真弓
編曲
・・・・・佐山 紀彦
振付
・・・・・藤井 明子
舞台美術/衣装/印刷物デザイン
・・・・・長谷部 和也
照明
・・・・・寺西 岳雄(マーキュリー株式会社)
音響
・・・・・小山 和男(有限会社ワンダースリー)
メイク
・・・・・本山 みづ
ヘアメイク
・・・・・松本 良輔(ヘア&メイク ラルテ)
事務局長
・・・・・藤澤 寧都
キャスト
ヴァルター・ホーネック:オペレッタ劇団「ルミエール座」支配人兼座長
・・・・・上田 純也
ヘルムート・リピンスキー伯爵:リピンスキー伯爵家の当主
・・・・・利根川 聡
エディット・リピンスキー伯爵夫人:ヘルムートの妻・マルタの娘
・・・・・大林 弘子
ハラルド・シュタインベルガー:ルミエール座の看板テノール
・・・・・田中 豊輝
エヴァ・クプリツカー:ルミエール座に入団してきた新人歌手
・・・・・大津 佐知子
マルタ・オッテンザマー伯爵夫人:エディットの母。ヴァルターのかつての恋人
・・・・・笠松 知恵子
オットー:ヘルムートの召使
・・・・・千葉 崇史
ヤーン:ヘルムートの召使
・・・・・木下 圭一
門番カール
・・・・・長谷部 和也
振り付け師(リタ)
・・・・・越智 伊穂里
舞台装置家
・・・・・宮崎 健司
貴族1
・・・・・外山 純生
貴族2
・・・・・山崎 大作
プロモータ
・・・・・青木 亮
ガレリア座管弦楽団(コンサートマスター:柴山英俊)
ガレリア座合唱団
ガレリア座バレエ団
ごあいさつ
今年2002年の音楽界の珍事のひとつに、年明けを飾った小澤/ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの実況CDが大セールスを記録したことが挙げられる。ウィンア・ワルツやポルカなんぞ目をつぶったって弾けるウィーン・フィルのこと、別に台上に立ってるのが例え私だったとしても、正月っぽい演奏会には仕上がるだろうが、何故か私はハラハラしながらTVを見ていた。いつもは評論家気取りで「オザワはオペラ振りじゃないからね〜」などと、こき下ろしている私でさえそうなのだ。クラシックの世界の桧舞台に晴れ晴れと登場した世界のオザワを、「オケ(=オーケストラのことね)にいじめられやしないだろうか?」「ちゃんと振り下ろせるかしらん?」と、まるで朝青龍の初優勝を見守るモンゴルの両親のように、期待と不安で見ていた日本人は多かったはずだ。
担当者に特別ボーナスまで出た、このセールスこそ、まだまだクラシック音楽と東洋人の間にある大きくて深い溝を、年の始めからアッパレ埋めてくれた名誉な日本人への国民の熱い賞賛の声と受け止めるのは、私の穿った見方だろうか(たぶんそうだろう。)その後、何とかディスク賞の表彰を受け、浜崎あゆみの隣りで無邪気に微笑んでいたオザワの何と健康的なこと!そう、そう、その調子!こうやってクラシックの敷居を低くしていけば、ゴスペラーズが、”行け、我が思いよ、黄金の翼に乗って”をハモったり、天童よしみが、”愛に生き、歌に生き”を熱唱する日も遠くはない。
でもって、オペレッタなら、まさにクラシック音楽の突撃隊長になってくれるはず、と私は信じている。メロディの美しくて親しみやすいこと、このうえなし。その長所をとって、オペレッタの名曲ばかりを集めてきて、まったくオリジナルの筋立てを付けてしまったガレリア座の実験企画が、まさに今回の《ガラ・オペレッタ》。
年末のお忙しいなかを、おいでいただいた皆様に喜んでいただけるよう、一同、精一杯つとめさせていただきます。どうぞ最後までよろしくお付き合い下さいね。
本日はご来場ありがとうございました。
・・・・・ガレリア座主宰 八木原 良貴
あらすじ
第一幕
オペレッタ全盛期のウィーンの片隅に、今まさに産声を上げたばかりの新オペレッタ劇場がありました。その名もルミエール座。一座の座長、ヴァルターを道化役に、看板テノール歌手ハラルドを中心に据え、新劇場のこけら落し公演は連日満員御礼の大盛況。
ここまでの長い道のりを語り合うヴァルターとハラルド。ルミエール座に飛びこんできた新人歌手のエヴァ。
3人の前に現れたのが、厳格な夫、ヘルムートから逃げ出してきたエディットでした。
3人はエディットをかくまい、ハラルドのとっさの機転で、エディットを歌姫に仕立て上げますが、追いかけてきたヘルムートの追及の手は緩みません。隠しきれない!と思ったその時、エディットが突然歌い出した歌が、ヘルムートを含めた人々の心をとりこにします。
第二幕
第一幕から数週間後。ルミエール座のクリスマスレビューの舞台を飾るのは、スヴェトラナ・フロフリホヴァーなる歌姫と、エヴァの2人。
スヴェトラナとはヘルムートを欺く仮の姿、本当はエディットが化けているのですが、ヘルムートは、自分の妻だとは夢にも思っていない様子。それどころか、彼は、歌姫スヴェトラナにすっかり心を奪われているようなのです。そんなエディットとヘルムートの間は、ヘルムートの誤解も解けないままに、急速に深まっていきます。
その頃、ヴァルターの元に、一座の看板テノール、ハラルドを、国立劇場の舞台に採用したい、という申し出が届きます。劇団の創設以来の大黒柱であり、自分の親友でもあるハラルドを失うことに、ヴァルターは、自分の身を切られるような苦痛を感じます。
一方、スヴェトラナの正体に気付かないヘルムートは、劇場を埋める人々の前で、エディットとの離婚と、スヴェトラナとの結婚を宣言してしまいます。
第三幕
ヘルムートからの愛をそのまま受け入れてよいのか・・・苦悩するエディット。混乱する人々の前に現れたのは、ヴァルターの元恋人、マルタでした。エディットは、なんとマルタの一人娘だったのです。惨めなスキャンダルにまみれた娘をなんとか救おうと、ヴァルターに嘆願するマルタ。
ヴァルターは、そんな人々の前に、スヴェトラナとしてではなく、エディット・リピンスキー伯爵夫人本人として、エディットを紹介します。自分の正体を明かすエディット。
自分の恋焦がれた歌姫の正体を知ったヘルムート。二人は、お互いの真実の姿を発見したことを確かめ合い、永遠の愛を誓い、マルタともども、ルミエール座を去っていきます。
残されたハラルドに、ヴァルターは告げます。「きみはクビだ。」国立劇場で、思う存分自分の可能性を試してみるといい。立ち去るハラルドを追って、エヴァが飛び出していき、一人残ったヴァルターはつぶやきます。
「エヴァ、お前もすぐに出て行くんだよ。マルタ。ハラルド。スヴェトラナ。エヴァ。みんないなくなってしまう。ここに私は一人だ・・・私はいつまでも残る。ここは夢の牢獄だ・・・私はいつまでも語りつづける。歌いつづける。私の夢を。この劇場で。いつまでも・・・」
脚本家から一言〜サンタクロースの幸せ〜
大学生のある夏、帰省の際、小学校時代の恩師を訪ねたことがあります。昔のままの、子供のような笑顔で迎えてくれた先生は、別れ際、一瞬寂しそうに微笑むと、こんなことを呟きました。
「子供らはどんどん大きくなる。オレはずっとここで、おんなじことを続けとる。虚しいもんや・・・」
時はまさにクリスマス。その主役は、何と言っても、サンタクロース。いつも笑顔の滑稽な姿。サンタさんは、世界で最も愛されている道化役かもしれません。
でも、ふと考える。サンタクロースって、いつもいつも、あんな風に笑顔でいるんだろうか。
サンタクロースの幸せ。それは、ただひたすらに与えること。与える夢を紡ぎ続けること。時に、子供たちはそんな夢を忘れ、荒れ果てた現実の中で、がさがさした瞳の大人になっていく。それでも与えることをやめない。夢を配ることをやめない。その目じりの笑い皺に、取り残される寂しさから来る涙が伝うことだって、ひょっとしたらあるかもしれません。
この物語は、一人のサンタクロースと、彼から、夢と、本当の自分を受け取った人々の物語です。
最後に、オーケストラ付きのオリジナル・ガラ・オペレッタという、無謀な夢を実現させてくれた、スタッフ・キャスト・オーケストラ・コーラスのみんな、一人一人に。そして、何より、我らがガレリア座のサンタクロース、主宰の八木原くんに。最高のクリスマスプレゼントを、本当にありがとうございました。
・・・・・北 教之
使用曲一覧
エメリッヒ・カールマン
・・・・・「サーカス妃殿下」より
フランツ・レハール
・・・・・「ひばりの鳴く所で」より
ジャック・オッフェンバック
・・・・・「山賊」より
エメリッヒ・カールマン
・・・・・「カーニバルの妖精」より
パウル・リンケ
・・・・・「ルーナ夫人」より
フランツ・レハール
・・・・・「微笑みの国」より
エメリッヒ・カールマン
・・・・・「シカゴの公爵夫人」より
フランツ・レハール
・・・・・「美しきかなこの世界」より
ロベルト・シュトルツ
・・・・・「Das Lied ist aus」
アンドレ・メサジェ
・・・・・「ヴェロニク」より
フレッド・ライモンド
・・・・・「Ich hab das Fraeul’n, Helen ‘baden’ sehn」
フランツ・レハール
・・・・・「メリー・ウィドウ」より
オスカー・シュトラウス
・・・・・「チョコレートの兵隊」より
フランツ・レハール
・・・・・「ひばりの鳴く所で」より