第17回公演
C.ミレッカー
「乞食学生」
全幕(日本語訳詞上演)
オペレッタプロジェクト12
2005/3/6 (日) 午後2時開演(午後1時30分開場)
新宿文化センター大ホール
全席指定2000円
スタッフ
芸術監督/制作統括/演出
・・・・・八木原 良貴
音楽監督/指揮
・・・・・野町 琢爾
舞踏監督/振付
・・・・・藤井 明子
演出補
・・・・・内藤 明日香
美術/衣裳
・・・・・長谷部 和也/小森 純子
照明
・・・・・寺西 岳雄 (マーキュリー)
音響
・・・・・小山 和男 (ワンダースリー)
ヘア&メイク
・・・・・松本 良輔 (ラルテ)
翻訳/訳詞
・・・・・三浦 真弓
大道具
・・・・・桜井 俊郎(C−COM)
制作補
・・・・・佐藤 祥子/辻本 英恵/本山 美瑞/山内 美英
記録
・・・・・岡野 肇(まじかるふぇいす)
会計
・・・・・宮崎 健司/寺西 美陽
事務局長
・・・・・藤澤 寧都
キャスト
パルマティカ (ノヴァルスカ伯爵夫人:アルト)
・・・・・河野 昭子
ラウラ (その姉娘:ソプラノ)
・・・・・小柴 亜希子
ブロニスラヴァ (その妹娘:ソプラノ)
・・・・・君島 由美子
シモン・リマノヴィッツ (乞食学生:テノール)
・・・・・利根川 聡
ヤン・ヤニツキ (実はオパリンスキ伯爵:テノール)
・・・・・千葉 崇史
オルレンドルフ大佐 (クラカウ総監:バリトン)
・・・・・北 教之
エンテリッヒ (ザクセン人の看守長:テノール)
・・・・・小宮山 弘樹
フォン・ヴァンゲンハイム (少佐:テノール)
・・・・・荻島 創一
フォン・リヒトホーフェン (騎兵隊旗手:テノール)
・・・・・齋藤 昭典
フォン・シュヴァイニッツ (士官:バス)
・・・・・木下 圭一
フォン・ヘンリチ (騎兵隊大尉:バス)
・・・・・宮崎 健司
ボーグミール・マラコウスキ(楽隊伯爵でパルマティカの従兄:バス)
・・・・・林 猛
エファ (その妻:アルト)
・・・・・原 美緒
オヌフリー (パルマティカの召使い:バス)
・・・・・山崎 大作
ピフケ (看守:ソプラノ)
・・・・・辻本 英恵
プフケ (看守:ソプラノ)
・・・・・伊東 寧子
クラカウ市長
・・・・・外山 純生
ロイ
・・・・・佐藤 尚之
囚人
・・・・・大貫 裕之
ガレリア座管弦楽団(コンサートマスター:柴山英俊)
ガレリア座合唱団
ガレリア座バレエ団
ごあいさつ
10周年記念公演。
昨年2月1日、あの狂乱のサントリーホール・ガラを振り返らずに、今日の演奏会を始めることは私にはできません。国内最高峰のコンサートホールを心ゆくまでしゃぶり尽くした究極の一日。大勢のプロたちも一所懸命応援してくれた贅沢な一日。四部構成、5時間近くに及ぶ演奏時間に、いっぱいの客席も最後には空席が目立ってしまった愉快な一日。
でも、私たちは本当に満足でした。楽しかった。出演者の肉体的、精神的疲労はピークに達し、いつもなら冗談を言い交わす陽気なスタッフたちも、仕込から撤収までほとんど口も利かないで、それぞれの持ち場で死力を尽くしました。まるで10年間培ってきた信頼の絆を試してでもいるかのように!あの稀有な一日はガレリア座にとって、すごく大きな財産になりました。本当にありがとうございました。
そしてまた私たちは船出しました。長い航海をまた始めるのです。この数年、ホームグラウンドにしていた新宿文化センター大ホールでは、少し背伸びになってしまうプロダクションであることは否定しません。10年の蓄積はほとんど意味を持ちませんでした。必死になって意識と集中力を高め、禁断の平日練習までも復活させました。お客様に楽しんでいただくため。私たちガレリア座の最低限のマナーとして。
そして本番です。
なかなか日本ではお目にかかれない作品ですが、合唱も賑やかで、ストーリーもオペレッタにしては明確な、楽しみやすい作品です。いつも挑戦する姿勢を失わないガレリア・スピリットで、どこまで皆様に楽しんでいただけますか。杉の花粉にもぜったい負けないガレリア座新宿公演第4弾!間もなく開演です。どうぞ最後まで、ごゆっくりお楽しみください。
本日はご来場ありがとうございました。
・・・・・ガレリア座主宰 八木原 良貴
あらすじ
第1幕 第1場 クラカウ市城塞の牢獄
時は1704年、ザクセン(現在のドイツの一部)支配下のポーランドの都市クラカウの牢獄に、女達が詰めかけている。 捕らわれている夫に一目会いたいと訴える妻たちに、看守長のエンテリッヒは、面会を許す代わりに差し入れ品は没収すると歌う。
囚人たちが牢から出され、皆が再会を喜んでいる所に、ザクセン軍の将校達4人が牢獄を訪れる。エンテリッヒと看守とピフケ、プフケは、慌てて囚人達を妻達もろとも牢屋に押し込める。 将校達を牢獄に呼び出したのは、クラカウ総督、オルレンドルフ大佐である。
クラカウ一の美女の誉れ高い、ノヴァルスカ伯爵令嬢ラウラ。オルレンドルフ大佐は、彼女にすっかりのぼせ上がり、前夜の舞踏会で、酔った勢いで、彼女の肩に口づけをしたのだ。 誇り高いラウラは、無礼者とばかり、公衆の面前で、大佐の鼻面を扇子でしたたかに殴りつけた。その顛末を怒りながら歌うオルレンドルフ大佐。
貴族の誇りから、オルレンドルフを初めとする、ザクセン将校たちを馬鹿にしきっているノヴァルスカ伯爵家の一家に復讐するため、オルレンドルフ大佐は一計を案じる。囚人の中から選び出した若者を、金持ちの貴族に仕立て上げ、気位の高いラウラと結婚させて、結婚式の日に笑いものにしよう、というのだ。計画の候補者として囚人から選び出されたのは、乞食学生のシモンと、政治犯の学生ヤン。若い二人は、どんな境遇にあってもユーモアで乗り切るさ、と陽気に歌う。
二人は牢獄から出るために、オルレンドルフ大佐の計画に乗り、シモンは大富豪ヴィビツキ侯爵に、ヤンはその秘書になりすますこととなる。
第1幕 第2場 クラカウ春の見本市
舞台は変わって、賑やかなクラカウの市内。市長が春の見本市の開催を宣言し、市民の歓喜が爆発する。
ノヴァルスカ伯爵家の母娘、パルマティカ、ラウラ、ブラニスラヴァも、召使のオヌフリーを連れて見本市に訪れている。 しかし、ノヴァルスカ伯爵家は既に、破産寸前。買い物などできるはずもない。それでも3人は見栄をはって、人々に、買い物をしているのだと思わせなければ、と歌う。
早く娘に、金持ちの結婚相手を見つけなければ、我々は破滅、とため息をつくパルマティカ。見本市を訪れた従弟のボーグミールとエヴァ夫婦と、軽薄な見栄の張り合いをしていても、中身はカラッポだ。
そこへ、オルレンドルフ大佐一行が登場。シモン扮する大富豪ヴィビツキ侯爵を、ノヴァルスカ伯爵家の面々に引き合わせる。 色めき立つ伯爵家母娘、侯爵と秘書を気取るシモンとヤン、計略の順調な滑り出しにほくそえむ将校たちと、それぞれの思惑が入り乱れるアンサンブルとなる。
シモンは、軽妙洒脱に、「世界中の美女を渉猟したが、やはりポーランド娘にかなう女はいない」と、ラウラを口説く。
ラウラは、遂に現れた理想の相手に魅了され、シモンも、美しいラウラに心惹かれる。一方、ブロニスラヴァとヤンも、お互いが一目で気に入った様子。 まんまと騙された伯爵母娘の様子にご満悦のオルレンドルフ大佐は、その場にいたエンテリッヒ、ピフケ、プフケに、シモンを見張るよう命じる。エンテリッヒたちは張り切って歌う。
互いに一目ぼれのラウラとシモン。オルレンドルフ一行と伯爵家の人々。それぞれに思惑通りと大喜び。 町の人々と、ボーグミール率いる音楽隊も加わって、盛大にラウラとシモンを祝福する。
第2幕 ノヴァルスカ伯爵家のサロン
ラウラの結婚式を控え、母娘は身支度に余念がない。母から教わった「結婚の心得」を、楽しげに歌うラウラ。
一人残ったブロニスラヴァは、玉の輿に乗った姉に引きかえ、自分は無一文の秘書のヤンに恋してしまった、と胸のときめきを呟く。そこに、当のヤンが登場、二人は互いの思いを打ち明ける。
一方、シモンは、ラウラへの思いが真実のものになるにつれ、オルレンドルフの計略に乗せられていることが耐えられなくなっている。 しかし、ラウラに嫌われるかも、と思うと、真実を打ち明ける勇気もない。 その苦悩をヤンに打ち明けるシモン。ヤンは、シモンとの友情を信じ、自分の正体を明かす。ヤンは、学生などではなく、その正体は、オパリンスキ伯爵。 ポーランド人が自国の真の国王として待ち望む、スタニスラウス・レクチンスキ王の傭兵隊大尉だったのだ。 ヤンは、スタニスラウス・レクチンスキの甥、アダム・カシミール公爵の下、ザクセン軍の支配からクラカウ市を解放するべく、挙兵の機会を窺っていた。 そして今、反乱軍の蜂起に必要な軍資金の到着を待っているのだ。 そこへ、ラウラが現れる。もし自分が無一文でも、僕を愛してくれますか?と問いかけるシモンに、地位などいらない、と答えるラウラ。二人は真実の愛を誓い合う。
どうしても真実をラウラに告げられないシモン。手紙で本当のことを打ち明けよう、とするが、その手紙は、オルレンドルフの策略によってラウラの手元には届かない。 結婚式に向かう人々の祝福の合唱。
そこへ、オルレンドルフあての緊急電報が届く。電報は、ヤンの正体を告げるものだった。 オルレンドルフは、ヤンを買収して、アダム公爵を捕らえようとするが、ヤンは逆にその金を、反乱軍の軍資金にしようと画策する。そうとは知らないオルレンドルフは、ヤンを丸め込んだと思い込み、自分の手練手管を誇らしげに歌い上げる。
結婚式は無事に終わり、ノヴァルスカ邸での結婚披露宴が華やかに始まる。
宴が最高潮に達した時、エンテリッヒが囚人たちを率いて現れ、シモンの正体がただの乞食学生であったことを暴露する。 全てが自分の仕組んだ芝居だったとうそぶくオルレンドルフ。傷つき、「なぜ?」と詰め寄るラウラに、全ては恥をかかされた復讐だった、と告げ、ラウラは、人々の嘲笑が渦巻く中でくずおれる。
第3幕 ノヴァルスカ邸の庭園
人々は先ほどの騒ぎの余韻の中、シモンを探している。
ブロニスラヴァは、姉を気遣いながら、色恋よりもまずは食事、と、食い気の旺盛なところを見せる。
シモンを見つけたヤンは、反乱軍の蜂起までの時間稼ぎのため、シモンをアダム公爵の身代わりに仕立て上げることを持ちかける。 ラウラの愛を失ったシモンは、せめて祖国のために、この身を捧げよう、と、捨て身の決意を歌う。
一方、オルレンドルフは、ヤンがオパリンスキ伯爵なら、ひょっとして、シモンはアダム・カシミール公爵では、と疑い始めていた。 オルレンドルフから金を受け取ったヤンは、その金と引き換えに、30分後にアダム公爵を引き渡そう、と約束する。そして、オルレンドルフの詰問に対し、シモンがアダム公爵である、と、偽の情報を臭わせ、オルレンドルフを罠にかける。 シモンを見つけ、「アダム公爵だ!」と喜ぶオルレンドルフ。そこに現れたパルマティカたちは、シモンを詐欺師、と罵る。しかし、オルレンドルフが、「シモンはアダム公爵だ」と宣言すると、パルマティカたちは手のひらを返して、娘は公爵夫人だ、と大喜び。 しかし、オルレンドルフは、「公爵は打ち首だ」と、シモンを逮捕しようとする。そこへラウラが現れ、シモンが公爵だろうと誰だろうと、私は彼の妻なの、と真実の愛を歌う。 愛を確かめ合う二人、その二人を守ろうとするヤン・ブロニスラヴァ、そして、パルマティカたち。しかし、全員が、オルレンドルフたちに包囲され、絶対絶命となる。
その瞬間、砲声が轟き、歓声が上がる。アダム公爵の率いる反乱軍が到着したのだ。ヤンが勝利を宣言すると、人々がザクセン将校たちを取り囲む。 もはやこれまで、と観念したオルレンドルフは、潔く縛につく。
ラウラとシモン、ブロニスラヴァとヤンは再び抱き合い、シモンはポーランドの英雄として、ヤンから、伯爵の称号を贈られる。 人々は歓喜して歌い踊り、めでたく幕となる。
(なお、第一幕2場の、エンテリッヒたちの三重唱は、同じC.ミレッカーの別のオペレッタ、「ガスパローネ」からの曲です。)